里親さんと出会った5歳のA君。
それまでA君は「ぼくにはパパとママがいないから、どこもいかれへん」と
幼稚園の先生に話していました。
里親さんとの出会いがあり、施設の職員から会いに来ることを説明されると、
初めて里親さんと会う前日、
「明日は特別な日やねん!」と幼稚園の先生に報告しました。
家庭に迎えられた当初、
里父母さんのことを「おとん、おかん」と呼び、
遊ぶ時にはA君の決めたルールにあわせさせ、
「こーして」「あーして」と全て自分の言うとおりにさせていました。
また、お菓子は食べるものの、
ご飯になるとチャーハン、ウインナー、たまごなど限られたものだけ。
そんなA君のことを叱ったり否定せず、
里父母さんはA君の求めに応じ、受け止めてくれていました。
次第にA君は、里母さんに「食べさせて」と言ったり
里父さんに抱っこを求めたりと、甘えられるようになり、
「おとさん、おかさん」と少し甘えるような呼び方に変わっていきました。
施設では、幼稚園に通い、同年代の子たちと仲よく過ごせていましたが、
家庭生活が始まり、
公園に行くと同年代の子どもがいると避けるようになりました。
「小学校には行かない」と宣言していたので、どうなるのかと心配していましたが
ランドセルを買い、小学校でおこなわれた地域のイベントに参加し、
段々小学校に行く気持ちにもなっています。
先日、無事に養子縁組成立の審判が下り、入籍することができました。
入籍日のちょうど1年前は、初めてA君と里父母さんが顔をあわせた日でした。
ぎゅーと濃厚な1年を過ごしたA君と里父母さん。
A君はこの春小学校に入学し、新しい生活が始まります。
これからのA君の様々な節目に、
お父さんお母さんが一緒にいてくれます。