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かていようご

Author:かていようご
(社)家庭養護促進協会 大阪事務所のワーカー日記です。


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2012/10/01からの訪問者


養親、里親向けの研修の際、一緒に来た子ども達は別室で預かります。
保育で預かる子どもの人数にもよるのですが、
職員だけではまわらないことも多いので、
ボランティアで保育をしてくれる人をあたります。
養子を迎えたいと協会に来られている人に、
子どもと関わる経験をしてもらえることもあって、
申込者の方に声をかけることが多いのですが、
最近は養子の子ども達が手伝ってくれることも出てきました。

先日は偶然にも高校生の養子3人が保育を手伝ってくれることになりました。
その3人は、これまでふれあいキャンプで一緒だったことがあったかもしれませんが、
3人とも記憶にはない感じだったので、ほとんど「はじめまして」の3人。
はじめは少しよそよそしい感じもありましたが、3人がはまっている「スマホ」の話題で、
少しずつ仲よくなっていきました。

3人とも、養親さんからきちんと告知をされていることもあって、
自分たちと、参加している子ども達が同じ立場であることをよく分かっています。
そして、私たちのことを、今の養父母と出会った時のことを
知っている職員ということも知っていて、
自分の生い立ちに関わる簡単なことも話したりもしていました。
「そんな話しができる人は周囲にはいないから」とも言っていて、
偶然出会った3人が、「同じ養子」という共通点で、
心強く思うときが来れば良いなぁと思います。

成長過程にある養子の子ども達との接点も最近は増えつつあります。
思春期で揺れ動く子ども達に付き合うことを、私たちもとても悩むのですが、
色々な機会を使いながら成長を見守っていければいいなぁと思います。

今年度から、ふれあいの家事業をはじめました。
協会が所有している古い長屋の一軒分を、
遠方から実習のために大阪に来る養親さんに提供し、
滞在拠点にしてもらおう、という家です。

これまで、遠方から実習に来られる際には
ウイークリーマンションを借りたり、親族を頼ったりされていました。
宿泊できる場所を持っている施設もあるのですが、
そうでない施設の方が多いです。

ふれあいの家は、ウイークリーマンションよりは部屋数が多く、広いのですが
建物や設備自体は相当古いものです。
洗濯機、冷蔵庫などの家電や布団、食器類など、
生活に必要なものは一通りそろえていますが
いくら掃除をしても古い印象は拭えず
最近の家にしか住んだことがない人は大丈夫かしら、と思っていました。
それでも、これまで利用された5組の方には
「お家の雰囲気で、リラックスして過ごせました」とか
「子どもとの外泊ものびのびできました」とか
おおむね好評のようです。
利用された養親さんが次に利用される人のために
近くのおいしい飲食店や、図書館の使い方などをまとめてくれたりもしています。

古い家ならではの課題もあるのですが
(今は玄関の引き戸の左側が開かなくなっています…)
気を張る実習の中で、少しでも落ち着ける空間になればいいなと思っています。
寒の戻り・・・なのか、大阪でもまだまだ春は来てないかのような気候です。

今年度は、偶然、なぜか愛の手の子どもたちのマッチングが進み、
一昨年、昨年に比べても
多くの子どもに新しいお父さんお母さんとの出会いがありました。
私の担当したケースでは、割合に遠方の方が多く、
山形、秋田、長野、東京、静岡、三重、奈良、大阪・・・・という具合で
いろいろ行かせてもらったなという印象です。
一時期、「日本地図に子どもを迎えてもらったところにしるしをつけようか」
というようなことを、事務所で言っていたこともありますが
いろんなところから申込みの方が来所されるようになっています。

家庭訪問調査は一人で行きますので、遠方への調査では
移動に5、6時間という場合もあり、ひとりきりでいます。
「時々、ひとりもいいなあ」と思いながら、
だいたいはぐうぐう寝ているのですが、
「あの子はこの土地で、こんな雰囲気の中で暮らすことになるのかな」などと
家庭に迎えられた後のことを想像してみたりしています。

施設から家庭へという変化が一番大きいのですが、
くわえて風土も方言も、暑さ寒さも違うので、環境の変化は大きいはずです。
それでも、子どもたちはいろいろ吸収して、どんどん慣れ、適応していきます。
入籍ができた頃には、すっかり現地の子ではないか、と思ってみています。

来年度以降も多くの出会いがありますように。


3月は養親講座の月。
2週目の講座では、先輩養親さんの体験談を聞きます。
担当のワーカーが、インタビューをしながら、
養子を迎えようと思った経過、子どもとの出会い、その後の親子むすびのプロセスを
振り返り、話してもらいます。

今回、体験談を話してくださったのは、S夫妻。
2歳前で迎えたK子ちゃんは、3歳8ヶ月になりました。

講座の数日前、養母さんから写真と動画がたくさん送られてきました。
おうちに迎えてまもない頃は、どの写真も不安げな顔のK子ちゃんの写真ばかり。
部屋の敷物をぐちゃぐちゃにしたり、風呂場で水遊びばかりしたり、
お母さんがずーっとK子ちゃんをおんぶしたり。
数ヶ月たつと、K子ちゃんの表情がずいぶんやわらかくなり、かわいくなります。
家族旅行をしたり、七五三のお祝いをしたり…。
最近の動画では、K子ちゃん作詞作曲のミュージカル?も。

すべての写真と動画が送られてきた後、
養母さんが「こうして画像などを見返してみたら…」と書いておられたので、
「なつかしさでいっぱいになりはったのかな~」と思いきや。

「気分が悪くなりました(笑)」とありました。

講座の講師をお願いしたときは、
「全然たいしたことなかったのに、私らでええのかな~」
と思っておられたそうですが、振り返ってみて、
「めっちゃ大変やったやん!」
「頑張ったな~。K子と私。あ、ダンナも少し(笑)」だそうです。

今は、K子ちゃんのことがかわいくてしかたがないという、お母さん。
(お父さんは、いつでもデレデレでした(笑))
「人間って、忘れる生き物ですね~!」とおっしゃっていました。

新しい人や場所への緊張が高い4歳のA君。
「愛の手」取材の時、
慣れない人がいると緊張していい写真が撮れなさそうだったので、
担当の施設職員さんと記者さんだけが近くに寄り
児童相談所職員さんと私は隣の部屋からこっそりとのぞくようにして見ていました。
それでもA君は始終うつむいて、声を聞くこともできませんでした。

そんなA君の様子を
「子どもの頃、引っ込み思案だった自分に似ている」と感じ、
A君のパパとママになりたいご夫妻との出会いがありました。

初回の面会でもA君はほとんどうつむいていましたが、
里父母が施設に通い、
3人で過ごすようになり少しずつ関係を築いていき、
自宅への外泊となりました。

外泊の様子をうかがいに行くと
A君は「Aのお家、教えてあげる」と道案内をしてくれ、
家に到着すると「ここは、Aが遊ぶところ」
「ここは、パパとママとAとご飯を食べるところ」
「ここがトイレ」などなど隅々を案内してくれました。
こんなにしゃべる子だったのだと、驚くほどに
ずーっとしゃべり続けていたA君でした。

A君の遊ぶところには、おもちゃがいっぱい。
ご夫妻のみだった家が、A君のお家となっていきます。

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