先週の週末里親懇談会に、今春高校を卒業し、
就職をしたA君の週末里親をしてくださっていたBさんが来られていました。
BさんがA君の週末里親をはじめたのは、A君が小学校3年生の時でした。
A君の週末里親さんへの期待は高く、週末里親さんは自分の思い通りに
動いてくれるものと思っていたようです。
しかし、希望に答えられないこともあり、「それはダメ」等注意すると、
気に入らないとBさんにくってかかることもあり、
BさんもA君の行動に相当悩まれた時期もありました。
Bさんは、施設生活の長いA君は、家庭生活について知らないことも多く、
些細なことでも根気よく教え、また「食事は大事」と思って、
A君が来る度においしい食事をたくさん用意してくださっていました。
そのうちに、A君もBさんにすごく素直に甘え、
穏やかに一緒に過ごせるようになっていきました。
中学、高校と進み、野球部に所属していたA君は、
長期休暇ぐらいしかBさん宅へ行くことができなくなってしまいました。
それでもA君は「次の正月には絶対行くからな」とBさんに連絡してきていたそうです。
お年頃になっても、施設の近所は里親さんと並んで歩くのが恥ずかしいからと、
少し距離を持って歩くぐらいはありましたが、
校区外に出ると、最近の様子や悩みをBさんに話していたそうです。
そのA君が今春就職をし、施設を出て、就職先の寮で暮らし始めました。
心待ちにしていた卒園でしたが、引っ越し当日に「さびしい」と
Bさんにメールが来たそうです。
Bさんも心配し、A君に会いに行ってくれたとか。
また働き始めた初日に「辞めたい」というメールが来た時には、
「あんたは厳しい野球部も続けたんやから大丈夫!」と励ましたそうです。
社会に出て、働きながら一人で暮らすというのはとても大変なことです。
特にA君の場合、これまで施設というある種守られた環境で暮らしてきたので、
一人になるということは相当に厳しいことだと思います。
そんな時、愚痴を言えば励ましてくれ、時には寄り添ってくれるBさんの存在は
とても大きいなぁと思います。
また、約10年大変なことも乗り越え、関わり続けてきたA君とBさんの絆は強く、
当初、とても苦労させてしまったのですが、続けてもらえて良かったと思いますし、
この里親子さんに関わらせてもらえたことに、担当者としても感謝しています。
A君は、これからまだまだ社会の大変さを体験することになると思います。
でも、A君にはいつも味方になってくれるBさんの存在があり、
その心強い応援を受け、社会で強く生きていってもらえたらなと願っています。